国際協力論
updated Mar.29, 2024


担 当 者 : 
大野 泉(email: i-ohno@grips.ac.jp
                  松永 正英(email: m-matsunaga@grips.ac.jp
学     期 : 春学期(前)、金曜 18:20-19:50
単 位 数 :  1
講 義 室
  :  I (eye)

1. 本講義の概要及び到達目標:
(本講義は世界の課題、SDGsの目標達成における国際協力の役割について、多角的に考える機会となる。)

国際協力をとりまく環境は21世紀に入り、大きく変容している。グローバル化の中で開発課題は多様化・複雑化・広範化している。また、新興国(ドナー)の台頭や、途上国に流れる民間資金の拡大、技術革新は、伝統的な国際協力アプローチに変化を迫っている。

日本は過去70年にわたり、自らのキャッチアップ経験にもとづき特徴ある国際協力を途上国に行ってきた。同時に、人口減少に直面する今、持続可能な経済社会を構築するためには、外国人材の受入など多文化共生の視点にたった新しい国際協力の重要性も増している。

本講義では、国際開発政策・国際協力の歴史と変遷、日本の開発協力の特徴と具体的な取組について学ぶとともに、変化する世界と日本において新時代の国際協力のあり方についても様々な切り口から議論・考察する。 途上国開発や国際協力、多文化共生に関心をもつ者、国際機関や援助機関、また政府・自治体や企業、NPOで働く人たちの参加を歓迎する。

<到達目標>
・国際開発・国際協力の政策と実践において必要な基礎知識を習得する。
・今日の世界が直面する課題を理解し、日本の課題と関係づけて考える能力を身につける。
・これら課題の解決のために日本が国際社会で果たすべき役割や、自らの国際協力への関わり方を考える視点を習得する。

 

2. 各授業のテーマ

講義は担当教員とゲスト講師の組合せで行う。またプロジェクト・マネジメントの事例、これからの国際協力についてのディスカッションなど、参加型の授業を行う。各回のテーマ(仮)は、次のとおり。

 授業日

テーマ

備考

4/5

  金

国際開発政策の変遷、世界との相互依存関係

 講義1

4/12

  金

日本の開発協力の歴史と変遷

 講義2

4/19

  金

日本の国際協力の概要とプロジェクトマネジメント(事例)

 講義3

4/26

  金

日本型開発協力の国際的な特徴

 講義4

5/10

 

地方自治体による国際協力(仮)
‐高田健司氏(群馬県甘楽町地域魅力化特命室長)

ゲスト講師

5/17

  金

民間企業との連携/SDGsビジネス(仮)
‐片井啓司氏(JICA民間連携事業部)

ゲスト講師

5/24

  金

アフリカと日本:スポーツと教育でつなぐ(仮)
‐半井真明氏(CHEZA 創立者/共同代表)

ゲスト講師

5/31

  金

プレゼンテーション、総括ディスカッション(これからの国際協力)

 

注:講義テーマと日程はゲスト講師等の予定により、変更になる可能性がある。

履修生は、各事業前に関連する参考文献を予習し、専門用語を理解しておくこと。また授業後に主なポイントを復習し、日本の役割や当事者としての自らの関わり方について考えを整理しておく。

基本文献>下記4.の文献と授業の関連性は以下のとおり。
・講義1:山形(2023)、紀谷・山形(2019)
・講義2-3:松本(2023)、下村(2020)
・講義4:野中(2024)、峯(2023)

 

3. 成績の評価方法:

出席、ディスカッションへの参加態度(60%)、プレゼンテーションと期末レポート(40%)で評価する(プレゼンテーションはオプショナル)。
期末レポートは、各自の海外との接点、あるいは解決すべき世界や日本の課題等をふまえ、これからの国際協力に向けた提言を含むものとする。
 

4. テキスト、参考文献等:

基本文献>
『入門 開発経済学』(山形辰史2023、中公新書)
『日本型開発協力途上国支援はなぜ必要なのか』(松本勝男、ちくま新書  2023
『私たちが国際協力する理由:人道と国益の向こう側』(紀谷昌彦、山形辰史、日本評論社2019

<参考文献>
『日本型開発協力の形成』(下村恭民2020、東大出版)、『インフラ協力の歩み』(山田順一2021、東大出版)、『開発協力のオラル・ヒストリー』(峯陽一2023、東大出版)  
『町工場からアジアのグローバル企業へ:中小企業の海外展開戦略と支援策』(大野泉編著2015、中央経済社)
『日本型開発協力とソーシャルイノベーション』(野中郁次郎編著2024、千倉書房)
Shimomura., Y., Page, J., & Kato, H. (eds.), Japan’s Development Assistance: Foreign Aid and the Post-2015 Agenda, Palgrave Macmillan, 2015.  
Ohno, I., Jin, K. Amatsu, K., and Mori, J. (eds.), Introducing Foreign Models for Development: Japanese Experience and Cooperation in the Age of New Technology, Springer, 2024.

 

5. 履修上の注意:

履修登録なしの聴講を認める(講義資料や関連文献をTeamsで配布するので、聴講希望者はTeamsで登録することを推奨する)。
・外部講師を招聘する回は、本学の学生にも広く案内する。