22. ベトナムものづくりは日本型?イタリア型? 私は「ものづくり」にかかわることが好きである。もちろん金融その他の重要性はよくわかっているが、個人の趣向として実際に生産工程と製品を目で見られることが楽しい。もっとも、大学卒業前の就職活動の際には商社を目指していたが上手くいかず、たまたま、というか、しぶしぶ製造業に就職した。そこが実は自分に合っている場であったことを考えると、人生とはおもしろいものである。 ものづくりに関する理論は多々あるが、ここではまじめな学説ではなくテキトーなお茶飲み話でベトナムのものづくりを分析したい。その名も、「ベトナム=イタリア」説。実はこれは中堅のベトナム経済研究者として結構著名であるSさんが編み出したものである。学者としての素養を疑われるから絶対公表しないようにっていわれていたのだけど、しちゃいました。Sさん、すみません。
この間、UNの同僚たちと話しているときもこんな会話があった。
アメリカ人の同僚:
「ベトナムではさぁ、レストランとかで大声でウェイターやウェイトレスを呼ぶよね。 大多数の友人:「そうそう」 イタリア人の友人: 「うーん、でもイタリアではやるけどね・・・」 ちなみに、私の働くUNIDOでも、中小企業支援などはイタリアからの資金援助を受けているプロジェクトは多い。よくよく考えてみれば、繊維縫製・靴革・陶器などイタリアは中小企業の集積でも有名である。また、中国進出があまり上手くいかなかったイタリアは、ベトナムでがんばろうとしてる、という噂も聞く。イタリアの誇るスクーターであるべスパもベトナムではいっぱい走っている。そういえばSさんもべスパに乗っていたなぁ。現地生産も始めるようだ。 今のところ斬新なデザインのベトナム製品という話は聞かない。ただ、他の東南アジアの国と比べると、特に女性はファッションには気を使っているような気がする。また、この所得レベルで、これだけ街に画廊が多い国もそうはないかもしれない。これからはもしかしたら洗練された製品デザインなんてのも出てくるのだろうか。 日本型・イタリア型のどっちが良いとか悪いとか、はわからない。さてさて、10年・20年後くらいには、このお茶飲み学説の真否はわかるだろうか?もっとも、こんなのは外国人の傍観者としての勝手な楽しみであって、根本的にはどっちだろうとこの国の人たちには関係ない。ここはベトナム、最終的にはどんな形だろうと「ベトナム型」。笑顔で働くものづくり人たちは、きっと自分達の形を作り出していく、かな?
(2009年6月) |