26. 現地調達のむずかしさ こんなタイトルを書くと、VDFや私を知る人々は「また裾野産業の話がはじまった」と思うでしょうか。そうです、誰が何と言おうとベトナムでは裾野産業の発展が大事。製品の組み立てではなく、その部品を現地で調達できるようにならなければ競争力はつきません。 まあ、難しい話はここまでとして、今回の現地調達はもっと身近な話です。ハノイは、特にひどく不便な町ではありません。ドイモイ以前は違ったかもしれませんが、今はともあれモノはあふれているように見えます。しかーし、欲しいものを欲しい時に手に入れるのは難しい。 たとえば、スリッパがどこで買えるかよくわからない。スリッパを売っている店というのは意外とない。結果、天秤棒のスリッパ売りを追い回さなければいけない。しかも、そこで手に入るスリッパはとてもちゃっちい。同じことは傘にも当てはまる。みんなバイクに乗っていて、レインコートは着るが傘はささないから需要がないのもしれないが、もう少し簡単に手に入ってもよいのでは、という気がする。日本だったらコンビニや洋服売り場で手に入るのだが・・・。 事務用品にもこの手の話は多い。この間、キャビネットを整理している時に、アシスタントに「本立て」を買ってきてくれないか、と頼んだところ、「数件文房具屋に聞いてもなかった」との回答。まじで、と思って現在勤務している大学内をよく見ると、みんな書類や本はすべて横積みにしていて、立てておくという習慣がない。仕方なくハノイの文房具屋街に自分で出かけてようやく見つかったのでした。 いわゆる製造現場での5S(整理・整頓・清掃・清潔・しつけ)を少し大学内でも紹介するために、自習場などで安全通路や台車などの置き場を明確にするための区分線をビニールテープで作ろうとしたところ、「黄色のビニールテープが売ってない」という声が。この手の話は、プラスチックハンマー、安全メガネ、安全靴などさまざまなものに対して起こる。いやー、「現地調達を高める」と言葉で言うとたったの8字だが、現実は大変だ。正直、いちいち探すのが面倒くさい。企業の方々がすべて日本から持って来たくなってしまうという気持ちが少しわかるのでした。現地調達が高まっていることを肌で感じるには、もう少し時間がかかりそうですね。 (2011年1月) |