今回の中間CG会合の主なポイントは次のとおりです。
全般:
これまではベトナムにおいても、「貧困削減」に傾斜した議論がなされがちであったが、昨年12月のCG会合において、日本のイニシャティブによって成長促進措置の1つである大規模インフラの役割をCPRGSの中に組み入れる事が決定され、これを受けて行われた今回の中間CG会合においては、「貧困削減」と「経済成長」との間で適切なバランスをとる必要性が広く認識された。成長が貧困削減につながるという観点から成長支援を重視してきた日本のスタンスが越政府や世銀を始めとするドナー全般から支持され、会合の基調となった。また、援助の効率化においても、日本が従来から行ってきたローン分野の手続き調和化努力に加え、グラントも視野においた新たなイニシャティブに取り組む意向を示した。
CPRGS実施:
CPRGS拡大(CPRGS
expansion)およびCPRGS地方化(rolling
out of the CPRGS)について、越政府計画投資省(MPI)から報告があり、@大規模インフラの役割にかかる章を追加すべく作業が進んでいること(*日本の支援にも言及あり)、ACPRGSの地方化については、省レベルの年次計画にCPRGSの要素(目標・モニタリングシステム・政策面)を盛り込んでいく作業が進んでいること、などの報告があった。
日本からは、越政府のイニシャティブによるCPRGS拡大作業への支援を改めて表明するとともに、CPRGSの地方化と同時に、CPRGSと他の政府のセクター開発計画・戦略との整合性・役割分担に注目する必要性、資金配分メカニズムを含む他の政府計画(5ヵ年計画、公共投資計画、年次計画)とのリンクを強めることの重要性を指摘した。
手続き調和化など:
2002年12月のCG会合および2003年2月ローマでの調和化ハイレベル・フォーラムの流れを踏まえ、調和化3原則(オーナーシップ、国別アプローチ、多様性)が各ドナーによって繰り返し確認され、同原則は関係者間のコンセンサスとして定着したものとなった。
日本は従来からのローン分野の手続きの調和化努力に加え、グラントも視野において援助の効率化に向けた新たなイニシャティブの提言を行った。ローン分野では、従来の世銀、ADB、JBICによる“3
Banks” にAFD(仏)とKfW(独)が新たに加わり、“5
Banks”へと発展し、調和化努力に向けた機運が一層高まった。
平行して、Like-Minded
Donor Group (LMDG)、EU、国連機関からもそれぞれの調和化努力が紹介された。各援助機関の特徴をふまえた多様性を前提とした取組みが進んでおり、グラントが中心のアフリカでしばしば見られるLMDG主導の画一的なアプローチとは異なる展開となっている。このプロセスにおける越政府の強いオーナーシップは特記すべきものがある。(他方、ドナー側からは、各グループ毎の調和化努力の更なる調和化(harmonization
among harmonizers)の必要性も唱えられた。)
援助効率化の議論に関しては、"capacity
building"(「能力強化」)がキーワードになった。これには多様な意味・側面があり、@プロジェクト・マネージメント能力強化(越MPI、世銀が重視)、A一般財政支援の導入を前提とした能力強化(LMDGが重視)、さらにはB被援助国内部の非効率の改善(JICAが実施した手続きコスト調査結果の指摘)なども含まれる。また、日本が重視しているon
the job training型の能力移転も「能力強化」の有効なツールの1つである。従って、今後の議論の中で、「能力強化」の持つ多面性を整理し、日本なりのアプローチを意義づけることが重要である。
以上