英国通信


英国援助事情 No.4 「ブッシュ大統領と英国NGO」 

ブッシュ米大統領と英国のNGOの相性は極めて悪い。京都議定書問題でのブッシュ大統領の否定的な態度や国連小火器会議でのアメリカの後ろ向きな姿勢に当地のNGOは総じて不快感を示している。今日また、ある大手NGOの年次総会で、ブッシュ批判が続出した。

このNGOは世界的規模で家族計画とリプロダクティブヘルスを推進するイギリスに本部を置くNGOで、年間予算約60億円という、この分野では世界一の団体である。総会は、ロンドン市内の紅葉が美しいリージェントパークの隣で開催されたのだが、会議の冒頭、事務局長はブッシュ大統領の人工中絶に関する政策を厳しく批判した。今年の1月に発表されたブッシュ大統領の、いわゆるグローバルギャグルールと呼ばれる新しい政策により、アメリカ政府は、間接、直接を問わず人工中絶を実施する援助団休には一切補助金を出さないということになった。これにより件のNGOもアメリカからの資金が途絶え、人口中絶とは関係のない貧しい女性へのサービスまでも出来なくなったというのである。

開発途上国では男性の知識の欠如や社会的風習から望まない妊娠をする女性が多いし、また闇で行われる中絶手術のため命を落とす女性も少なくない。ブッシュ大統領がアメリカ国内の中絶反対を唱える豊かな人々の圧カに屈し、このような理不尽な援助政策を進めることに対して、英国のNGOだけでなく、北欧などの援助国も表立っては言わないものの、実際は大いに非難している。 英国NGOの反ブッシュ感情は当分続きそうだ。

今日のNGOの総会を英国王立産婦人科大学の講堂を借りて行うあたりは、イギリス人らしいウイットと言えるだろう。

2001年10月29日 JICA英国事務所長 山本愛一郎



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「英国援助事情」は、筆者の英国での体験とナマの情報をもとに書いています。JICAの組織としての意見ではありません。部分的引用は御自由ですが、全文を出版物等に掲載される場合は、事前に御一報願います。
 

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