2007年10月26日
アメリカ援助事情 第1号 「アメリカとリベリア」 「皆さん、彼女はアフリカで民主的に選ばれた初の女性大統領です。彼女は国のリーダーとして素晴らしい仕事をしています。そして、国中の女の子の憧れの人なんですよ。」ローラ ブッシュ大統領夫人が紹介した。 10月の半ばアメリカの大手NGOが資金集めのためエレン・ジョンソン・ サリーフ リベリア大統領とブッシュ夫人を招待してワシントン市内のホテルで開催した夕食会での一幕だ。出席者は2,000人以上。相当なリベリア支援の資金が集まったことだろう。 アフリカ西部に位置するリベリアは日本人にとってはあまり馴染みのない国だが、アメリカとは歴史的に関係が深い。リベリアは、開放奴隷のアフリカへの帰還計画 に基づき、アメリカの元黒人奴隷が作った国で1847年に独立、現在のアフリカではエチオピアに次いで古い国である。国の名前も自由(liberty)に由来する。 しかし、近年になってチャールズ・テイラーの率いる反政府組織が蜂起し、10年間に二度の内戦を繰り返し、国土は荒廃し、難民など多くの犠牲者が出たことは記憶に新しい。 その後アメリカや国連の努力もあり、2005年10月暫定統治下において民主的な大統領選挙が行われ 、UNDP(国連開発計画)出身のサリーフ氏がアフリカ初の女性大統領となったのだ。 サーリーフ大統領が訪米した今月は、ワシントンでは折りしもIMF世界銀行の年次総会が開催中だ。総会の中でもアメリカのポールソン財務長官やゼーリック世界銀行総裁がリベリアの債務救済の早期実施を訴えた。国際金融や開発全般にわたる政策的な議論を行う場で、個別の国への支援が大きくとりあげられることは異例なことだそうだ。 リベリアはアメリカが自由と平等の名の下に作った国だという思い入れがあるのだろう。アメリカが国際社会と連帯してその理想をリベリアだけでなくアフリカの多くの国で実現することを期待したい。
JICAアメリカ合衆国
事務所長 山本愛一郎 |
*「アメリカ援助事情」は、筆者のアメリカでの体験とナマの情報をもとに書いてい ます。JICAの組織としての意見ではありません。部分的引用は御自由ですが、全文を出版物等に掲載 される場合は、事前に御一報願います。 |